関西支部技術賞

2022年度 土木学会関西支部技術賞・技術賞部門賞を決定しました

 土木学会関西支部技術賞は、土木技術の発展に貢献する優れた業績を表彰することにより、その成果をたたえるとともに支部会員の意識の高揚を図ることを目的として1982年に設けられた表彰制度です。

 2022年度は8件のご応募をいただき、選考の結果、技術賞4件と技術賞部門賞3件を決定しました。
 技術賞の表彰は、2023年5月19日に建設交流館で開催される「土木学会関西支部 第96回支部総会」で執り行われ、賞状などを授与いたします。

 なお、掲載の記事・写真・図表の著作権は、受賞団体および公益社団法人土木学会関西支部に帰属します。

技術賞

【対象業績】
大阪モノレールの地震時における被災度推定システムの開発
連続立体高架橋を走行する大阪モノレール

連続立体高架橋を走行する大阪モノレール

【受賞者】
大阪モノレール株式会社
株式会社建設技術研究所大阪本社
【業績説明】
【授賞理由】
 本業績は、大阪モノレールにおいて、地震発生直後に橋脚1本毎の被災度を推定する独自システムを開発したものである。初動判断を支援する速報と、列車の移動判断と点検の重点化を支援する詳報の2つで構成したシステムにより、できるだけ早く乗客員を安全・安心に避難させ、早期運行再開の実現を図るもので、地域における安定的な運輸サービスを提供する使命感と貢献度、他の鉄道企業へのシステム展開が期待できる汎用性を評価し、技術賞とした。

技術賞

【対象業績】
DX-ダム本体建設における、CIMの設計・施工・維持管理への一貫利用
発注者・設計者・複数の施工業者の図面を統合した施工CIM

発注者・設計者・複数の施工業者の図面を統合した施工CIM

【受賞者】
独立行政法人水資源機構
株式会社大林組
八千代エンジニヤリング株式会社
【業績説明】
【授賞理由】
 本業績は、約定工期が非常に短いダム工事の中で、CIMを設計から維持管理まで一貫して活用したDXを先駆的に取入れ、高品質ダムを建設したものである。設計から維持管理までの各段階でCIMを活用して情報を一元管理し、また、ドローンやデジタルツインを活用した施工管理を行うことで工程短縮や品質向上、作業員の平準化に繋がっており、今後のインフラDX活用の発展や働き方の改革に寄与できることを評価し、技術賞とした。

技術賞

【対象業績】
東海道本線交差部桁受替えプロジェクト-東海道線支線地下化工事-
東海道本線桁受替え概要 (片持ち構造→門型構造)

東海道本線桁受替え概要 (片持ち構造→門型構造)

【受賞者】
西日本旅客鉄道株式会社大阪工事事務所
ジェイアール西日本コンサルタンツ株式会社
大成建設・大鉄工業共同企業体
【業績説明】
【授賞理由】
 本業績は、鉄道営業線を地下化する事業のうち、斜角に立体交差する東海道本線鉄道橋の受替えを実施した工事である。桁の仮受けを片持ち形式で施工する等、前例のない多くの制約と課題に対し、三次元モデルの解析や実物大実験、BIM/CIM 等さまざまな新しい技術を計画・設計・施工の各プロセスで適用し成し遂げている。さらに、古い桁に対する乗り心地に配慮した管理値の設定等、創意工夫した点も評価し、技術賞とした。

技術賞

【対象業績】
列車運行の安全確保のための渓流危険度評価に関する技術開発
渓流の危険度を効率的かつ効果的に評価できる手法の開発

渓流の危険度を効率的かつ効果的に評価できる手法の開発

【受賞者】
森 泰樹 (西日本旅客鉄道株式会社)
杉山 友康 (西日本旅客鉄道株式会社)
里深 好文 (立命館大学)
藤井 昌隆 (株式会社レールテック)
【業績説明】
【授賞理由】
 本業績は、列車運行の安全確保を目的として、渓流を発生源とする土砂流入に関する危険度を効率的かつ効果的に評価するものである。過去に土砂流入被害をもたらした鉄道沿線の渓流等のデータを統計解析し、渓流の危険度を評価するための新たな採点表を作成するとともに数値標高モデルを利用して危険渓流を抽出する手法を開発した。本システムにより、これまで経験的に判断されてきた渓流危険度を定量的に評価できること、さらに他分野に対しても広く適用できる技術であることを評価し、技術賞とした。

技術賞部門賞 (喜ばれる技術)

【対象業績】
大阪府・大阪市連携による「大阪パークビジョン」策定
大阪府と大阪市の計画をつなぎ連携の取組を推進する

大阪府と大阪市の計画をつなぎ連携の取組を推進する

【受賞者】
大阪府都市整備部公園課
大阪市建設局公園緑化部
【業績説明】
【授賞理由】
 本業績は、大阪府と大阪市の広域的な公園緑地を一体的に捉え、府域の公園緑地の魅力向上を図ることを目的に、今後の府市連携による相乗効果を高める取組方針を、一つの計画として取りまとめたものである。また、公園緑地が有する多様な機能を最大限に活かしながら、府域全体を見すえた公園緑地の魅力を高めていく方策を整理したことは、府民サービスや都市魅力の向上にも繋がると評価し、「喜ばれる技術」として技術賞部門賞とした。

技術賞部門賞 (成し遂げた技術)

【対象業績】
コンクリート長寿命化施工技術の具現化と実践的育成手法の確立
コンクリート長寿命化施工への取組み状況及び概念図

コンクリート長寿命化施工への取組み状況及び概念図

【受賞者】
浮穴 勝 (金下建設株式会社)
【業績説明】
【授賞理由】
 本業績は、コンクリート構造物の施工において施工技術を明確に具現化するとともに、施工機会が減少し課題となっている技術継承について、実践的な育成手法を確立したものである。安価なアプリを活用した管理手法の確立、体験型指導に基づく分かりやすい育成手法、PDCA サイクルによる施工技術の可視化など、汎用性や発展性が期待できる技術継承手法・育成手法について「成し遂げた技術」であることを評価し、技術賞部門賞とした。

技術賞部門賞 (喜ばれる技術)

【対象業績】
阪神高速道路における新交通管制システム(HI-TEX)の構築
様々な新機能を導入した阪神高速の新交通管制システム

様々な新機能を導入した阪神高速の新交通管制システム

【受賞者】
阪神高速道路株式会社保全交通部
【業績説明】
【授賞理由】
 本業績は、阪神高速道路の交通管制システムの更新に際し、即時性の高いリアルタイム交通情報の提供や、南海トラフ地震に備えたバックアップ機能の追加、渋滞通過時間情報の提供、突発事象の車線別情報の提供などを実現する新交通管制システムを構築した事業である。情報提供コンテンツの充実や有事の際の安定した情報提供を実現し、高速道路利用者の利便性と安全性を向上させる「喜ばれる技術」であることを評価し、技術賞部門賞とした。

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