行事と募集(教員免許状) 行事開催報告

2018年度 教員免許状更新講習 開催報告

土木学会関西支部市民幹事会では、将来の社会を担う子供たちに暮らしを支えている社会資本整備や災害のメカニズムなどを伝えることが重要と考え、土木と学校教育とをつないでいく取り組みとして、学校教育に携わる教職員の方を対象に講習会を開催しています。

『知っておきたい!上水処理と下水処理の最前線』
日 時 2018年7月24日(火)
場 所 神戸市東灘処理場
主 催 国立大学法人 兵庫教育大学
共 催 (公社)土木学会関西支部
対象者 小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の教員39名
講 師 嶋津治希(近畿大学理工学部准教授)
児玉かんな(神戸市建設局東水環境センター職員)

≪講習時間割≫
09:05~09:10 オリエンテーション
09:10~10:40 講義1 上水道と浄水処理(1)
10:50~12:20 講義2 上水道と浄水処理(2)及び下水道
13:20~14:50 講義3 下水処理と下水道資源の活用、水質測定実験
15:00~15:50 施設見学実習
16:10~16:50 履修認定試験
16:50~16:55 事後アンケート

≪講義≫
 講義1及び2では、近畿大学嶋津先生から上水道と浄水処理及び下水道について講義していただきました。まず、上水道における歴史、上水処理の仕組みなどをパワーポイントスライドおよび動画によって説明されました。次に上水処理で最も普及している急速ろ過方式について詳説されました。その後、受講者は急速ろ過方式で重要なプロセスである凝集処理を観察しました。また、水道水の検査項目や下水道における歴史、下水処理の仕組み、下水道資源について説明されました。
 講義3では、神戸市建設局児玉様から神戸市東灘処理場における下水処理、排出される下水汚泥のバイオガスとしての再利用状況などについて説明していただきました。その後、受講者はパックテストを用いて、持参した身近な水のCOD(化学的酸素要求量)を測定し、見た目はきれいでもCODが高く処理しにくい水があることを学びました。また、生物濃縮槽における活性汚泥中の微生物等の観察もしました。

≪施設見学実習≫
 処理場施設見学では、受講者は下水処理の流れの説明を受けた後、生物濃縮槽、沈殿池などを順次、見学し、処理の仕組みを学習しました。次に、下水汚泥をバイオガスに変える卵型消化タンク、消化タンクでつくられたバイオガスを精製する設備、自動車にバイオガスを供給するバイオガスステーション、消化汚泥からリンを回収する装置を見学し、最先端の再利用技術を学びました。

≪履修認定試験、事後アンケート≫
 講義、施設見学実習後に、講習内容に関する履修認定試験に解答し、事後アンケートを実施した後、解散としました。

講座の様子


講義風景(嶋津先生)

河川水の凝集処理実験

講義風景(神戸市児玉様)

持参した水のCOD測定実験

下水処理施設の見学

バイオガス施設の見学

アンケート結果 PDF A4 3頁 ( 約240KB )
『知っておきたい!関西国際空港の歴史と技術~世界大交流時代を支える海上空港の役割~』
日 時 2018年8月6日(月)
場 所 関西国際空港
主 催 国立大学法人 兵庫教育大学
共 催 (公社)土木学会関西支部
対象者 小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、幼稚園等の教員39名
講 師 入江政安(大阪大学大学院工学研究科地球総合工学専攻准教授)
猪井博登(富山大学都市デザイン学部准教授)
遠藤 徹(大阪市立大学大学院工学研究科都市系専攻)
江村 剛 (関西エアポート株式会社 T1リノべ-ション部長)

≪講習時間割≫
09:30~09:45 オリエンテーション、豪雨災害に関する資料説明
09:45~10:35 講義1 航空とは?,空港とは?,関西国際空港の原点
10:45~11:15   実験     空港の立地計画・環境アセスメントの理解
11:15~11:55   講義2 関西国際空港の建設技術と環境配慮
12:50~14:10   講義3 関西国際空港が果たす役割と最近の取組み,関空内のさまざまな仕事紹介
14:15~16:15   施設見学実習 空港の施設を理解する 関西国際空港見学
16:35~17:05 履修認定試験
17:05~17:15 事後アンケート

≪ガイダンス≫
 講義の前にガイダンスの後に、大阪大学入江先生より「平成30年7月豪雨災害とハザードマップ 他」として、豪雨災害に関する資料説明を行っていただきました。平成30年7月に岡山県で発生した豪雨災害の概要をお話いただくとともに、ハザードマップの意義を説明されました。さらに、5月に滋賀県内で大雨注意報発令中に側溝で流された事故を取り上げ、注意報段階でも留意が必要である旨指摘されました。

≪講義≫
 講義1では、富山大学猪井先生から航空、空港、関西空港の立地に関する講義を実施していただきました。まず、航空の実態や空港の有する諸機能について説明されました。また、ビデオを用いて関西空港建設までの経緯と立地選択の際に注意した事項について講義を行われました。この講義内容は、「実験 空港の立地計画・環境アセスメントの理解」につながる内容を意識してお話しされました。
  講義2では、大阪市立大学遠藤先生から関西国際空港の建設技術と環境配慮について講義を実施していただきました。沈下が生じるメカニズムや沈下を促進させるための技術などを講義されました。さらに関西空港での取組が元となった環境アセスメントについて説明されました。
  講義3では、関西エアポート株式会社江村部長から関西国際空港が果たす役割と最近の取組み、関空ではたらく人々について講義を実施していただきました。講義では、ビデオを使われて関西空港の現在の使われ方や地域の貢献についてお話しをされました。また、関西空港が有する24時間空港である点を生かして、LCCの誘致を進められたと言うことを述べられました。さらに、今年からは「関空ではたらく人々」についても講義いただきました。この講義では、関西空港は約17,300人の従業員で支えられている旨お話しされ、パイロットやキャビンアテンダントなどの旅客に接する職業の他に多くの関わり方があり、その一つとして土木を学んだものがその力を発揮している旨を講義いただきました。

≪実験≫
 実験では、大阪大学入江先生、富山大学猪井先生が実施概要を説明していただき、実施しました。受講生には、コンパス、はさみ、地図、資料を配付し、騒音、航空法上の制限、交通アクセスをもとに空港を建設できる場所を検討していただきました。

≪施設見学実習≫
 施設見学では、受講生を2班に分け見学を行いました。講義で取り上げた建物の不等沈下の影響を和らげるジャッキアップシステム、滑走路、旅客ターミナルなどを見学しました。
  今年度は昨年度と異なり、講義3などで先に島内の施設について講義をしており、より理解しやすくなったものと思われます。

≪履修認定試験、事後アンケート≫
 講義、施設見学実習後に、講習内容に関する履修認定試験に解答し、事後アンケートを実施した後、解散としました。

講座の様子


講義風景(実験)(入江先生)

講義風景(講義1)(猪井先生)

講義風景(講義2)(遠藤先生)

講義風景(講義3)(江村先生)

実験風景

施設見学実習1

施設見学実習2

アンケート結果 PDF A4 3頁 ( 約245KB )
『知っておきたい! 津波・高潮防災の最前線』
日 時 2018年8月7日(火)
場 所 津波・高潮ステーション
主 催 国立大学法人 兵庫教育大学
共 催 (公社)土木学会関西支部
対象者 小学校、中学校、高等学校等の教員59名
講 師 高野保英(近畿大学理工学部准教授)
寺崎寛章(福井大学工学部助教)
山本公一(大阪府都市整備部)
西谷幹生(大阪管区気象台)

≪講習時間割≫
教室A
09:00~09:05 オリエンテーション
09:05~09:55 講義1 自然災害の概説
10:05~11:35 講義2および実験実習
                       気象庁,防災気象情報,防災教育の概説,実験機材の紹介と体験
12:25~13:10 講義3 台風・豪雨の概説
13:10~14:40 講義4および見学実習 津波・高潮の概説,「津波・高潮ステーション」見学
14:50~15:35 講義5 気象情報とその入手方法について概説
15:55~16:35 試験
16:35~16:40 事後アンケート
教室B
09:00~09:05 オリエンテーション
09:05~09:55 講義1 自然災害の概説
10:05~11:35 講義2および見学実習 津波・高潮の概説,「津波・高潮ステーション」見学
12:25~13:10 講義3 台風・豪雨の概説
13:10~14:40 講義4および実験実習
                       気象庁,防災気象情報,防災教育の概説,実験機材の紹介と体験
14:50~15:35 講義5 気象情報とその入手方法について概説
15:55~16:35 試験
16:35~16:40 事後アンケート

≪講義・実習≫
 兵庫教育大学との共催で教員免許状更新講習を、大阪府の施設である「津波・高潮ステーション」で実施しました。テーマは「知っておきたい! 津波・高潮防災の最前線」でした。この講習は、東日本大震災以降防災教育の必要性が高まっていることを踏まえて、教育現場の最前線におられる学校の先生方が、津波・台風など災害を引き起こす自然現象の基礎知識を学ぶとともに、「津波・高潮ステーション」の見学を通じて、津波・高潮防災に関する基本的な理解を深めることを目的としています。受講希望者が多く、受講者数を増やしてほしいとの要望もあり、本年度は2つの教室で実習時間を入れ替えて、同内容の講義・実習を実施しました。
  午前中は、まず本講習の目的と日本における自然災害の概要について講義を実施しました。その後、教室Aでは大阪管区気象台防災調査課調査官の西谷幹生様から、気象庁の役割、防災気象情報および気象庁が実施している防災教育についての説明がありました。この講義は、学校教育現場での防災活動および防災教育に役立てていただくことを目的としています。終了後、防災教育のための実験機材の紹介と体験の時間を設けました。大阪管区気象台が用意した液状化実験装置やペットボトル竜巻装置やなど手作り可能な実験装置から、津波発生の模型、高潮発生実験装置、雨滴浮遊装置、雨量計や震度計測装置など災害の発生メカニズムの理解に役立つ装置や気象要素の計測に利用される機器など、様々な機器や装置が展示され気象庁の方々からの説明後、実際に操作を体験していただきました。教室Bでは大阪府都市整備部の山本公一様から、津波・高潮に関する講義を実施していただき、「津波・高潮ステーション」を見学していただきました。「津波・高潮ステーション」では、展示物による津波・高潮の発生メカニズムやその対策の説明を受け、さらに「津波災害体験シアター(ダイナキューブ)」で津波の恐ろしさを体感できる映像を見ていただきました。この講義および見学では、津波・高潮のメカニズム、その被害、大阪における対策などを学んでいただきました。
  午後は台風や豪雨の講義に続いて、教室Aでは上記の津波・高潮に関する講義と「津波・高潮ステーション」の見学を、教室Bでは気象庁が実施している防災教育についての講義と防災教育のための実験機材の紹介・体験を実施しました。
 最後に、防災気象方法の種類とその入手方法に関する講義を実施しました。その後本日の講習内容に関する試験を実施、事後アンケートを実施した後、解散しました。

講座の様子


講義の様子1

講義の様子2

実習の様子1

実習の様子2

アンケート結果 PDF A4 3頁 ( 約250KB )
『知っておきたい!地図の作り方から使い方と最新の活用法』
日 時 2018年8月10日(金)
場 所 兵庫教育大学 加東キャンパス
主 催 国立大学法人 兵庫教育大学
共 催 (公社)土木学会関西支部
対象者 小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の教員49名
講 師 鍋島康之(明石工業高等専学校 教授)
石内鉄平(宮城大学 准教授)
千葉慎二(国土地理院近畿地方測量部 次長)

≪講習時間割≫
09:30~09:35 オリエンテーション
09:35~10:35 講義1 地図の作り方
10:45~11:45 1班 講義2 国土地理院HP地理院地図の使い方
                       2班 講義3 地図の使い方
12:40~13:40 1班 演習  国土地理院HP地理院地図の操作
                       2班 実習 立体地図作成,歩測,実体視
13:45~15:05 1班 講義3 地図の使い方
                       2班 講義2 国土地理院HP地理院地図の使い方
15:15~16:15 1班 実習  立体地図作成,歩測,実体視
                       2班 演習  国土地理院HP地理院地図の操作
16:30~17:10 試験
17:10~17:15 事後アンケート

≪講義・演習・実習≫
 昨年度から兵庫教育大学との共催で「地図」についての教員免許状更新講習を実施しています。講習の内容は社会の授業で馴染み深い「地図」の作り方から使い方です。
  午前中は国土地理院 千葉先生に地図の基本的な内容について講義をしてもらいました。普段、学校の授業で使用している地図がどの様にして作られているのかについて、説明をしてもらいました。地図を作成する際にはいくつかの約束事があり、方位の表し方、緯度・経度、縮尺や地図記号について講義を受けました。また、最新の宇宙技術を用いた地図の作製法についても説明があり、衛星などを使った地図の作成方法に受講生は驚いていました。昨年度は受講生が一斉にアクセスしたため、ホームページの反応が遅くなったため、今年度は2班に分かれて講習を実施しました。1班では国土地理院のホームページに掲載されている「地理院地図」の概要や使用法について講義を受け、その後、地理院地図を実際にパソコンで操作し、地理院地図をベースにしたハザードマップの作成方法について演習を行いました。その後、明石工業高等専門学校 鍋島先生は二次元の地図から、いかに三次元の地形をイメージするか、そのための教材として立体地図や実体視について説明がありました。また、「一般地図」と「主題図」の違いについて説明を受け、主題図のなかでも学校に関係のある「防災マップ」づくりについて実際の作成事例をもとに講義を受けました。
  実習では、講義で説明された立体地図を作成しました。今回はプラスチックのフタを重ねて富士山の立体地図を作成しました。他にも2つの画像を使って地形を立体的に見る実体視の訓練や、歩測で距離を測定しました。どの実習内容も実際の授業でそのまま使用可能な内容を受講生に体験してもらいました。ぜひ社会の授業で使ってもらいたいと思います。
  なお、2班では、講義・演習・実習の順序を入れ替えて実施しており、内容は同じである。今年度は2班に分かれて演習を行ったため、インターネットの接続が混雑することはなく、演習を行うことができました。
  最後に、本日の講習内容に関する試験に解答し、事後アンケートを実施した後、解散しました。

講座の様子


講義風景(千葉先生)

講義風景(鍋島先生)

アンケート結果 PDF A4 3頁 ( 約216KB )
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