カテゴリー: 関西支部技術賞

  • 平成26年度 土木学会関西支部技術賞

    平成26年度 土木学会関西支部技術賞

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    技術賞

    【対象業績】
    狭小ヤード・都市内重交通下でのジャンクション建設(守口ジャンクション)
    守口ジャンクションの全景
    守口ジャンクションの全景
    【受賞者】
    西日本高速道路株式会社関西支社 大阪高速道路事務所
    阪神高速道路株式会社 建設事業本部大阪建設部
    【受賞内容】

     守口ジャンクションは、周辺道路の渋滞緩和や高速道路とのネットワーク化により大阪中心部と京都圏のアクセスを向上を図るため、近畿自動車道と阪神高速12号守口線を橋梁で直結した構造である。
     しかし、周辺は大阪中央環状線などの都市内重交通路線、モノレール、浄水場や民家等が隣接し、場所的・時間的制約が非常に厳しく、①ソケット形式基礎や既設RC橋脚を鋼製梁で延長する複合構造の採用など、狭小空間でのコンパクトな構造設計、②曲線桁の連続送り出し架設や、鋼桁一括架設、大型トラベラークレーンによる主桁架設、パワーリフトを用いた鋼製橋脚架設など狭隘なヤードでの様々な工法による時間短縮、③大阪中央環状線を通行止めではなく対面通行にしたことや、工事による高さ制限を超える車両はレーザービームで判別し、進入前に迂回させる等の交通運用計画、④現場見学会や地域清掃等の地域貢献など、様々な工夫を行い、平成26年7月30日に全面開通した。
     本業績は、今後都市部で増加する大規模な道路橋更新の参考技術となるものであり、狭小ヤード・都市内重交通下の厳しい条件のもと、多岐にわたる関係機関及び多数の施工業者等と綿密に連携・調整を図りながら、新技術・新工法を駆使して難工事を完遂したことを高く評価された。


    【対象業績】
    近畿自動車道紀勢線(江住地区)長大法面の長期安定性リバウンド評価技術
    長大切土法面(13段)の施工状況
    長大切土法面(13段)の施工状況
    【受賞者】
    国土交通省近畿地方整備局 紀南河川国道事務所
    大成建設株式会社 関西支店
    応用地質株式会社 関西支社
    【受賞内容】

     近畿自動車道紀勢線江住地区の施工箇所周辺に分布する地質・四万十帯は、斜面崩壊や地すべり災害の履歴があることから、施工中および供用後の安定性が懸念された。特に、ランプ建設のため採用された13段に及ぶ長大切土法面は前例がなく、リバウンドによる長期安定性への評価が課題となった。
     そこで、原位置で実施した孔内試験や施工時の計測結果から得られた「変形特性のひずみ依存性」を地山材料の非線形モデルに組み込み、より現実に近い評価を行えるようにした。また、一般的に切土施工では使用されることがない三成分地中変位計を用いて、実際の地山挙動を予測解析にフィードバックすることにより、最終法面形状での長期安定性を評価する技術を確立した。
     これらの予測手法により事前に補強区間の決定ができ、手戻りなく施工を行うことが可能となり、災害時、代替え路線のない重要な紀勢線の早期供用に役立つことが期待される。
     本業績は、実際の地山の挙動を把握し、長大法面完成時の長期安定性を予測し、対策工にフィードバックさせたものである。従来の技術を総合的に組み合わせた技術であり、今後の長大切土法面施工の調査・設計・施工・維持管理の考えの一案となる技術を確立した点を高評価された。


    【対象業績】
    大深度地下使用法を全国初適用した大容量送水管の整備~奥平野工区~
    大容量送水管整備事業の概念図
    大容量送水管整備事業の概念図
    【受賞者】
    神戸市水道局
    安藤ハザマ・西武・不動テトラ特定建設工事共同企業体
    JFEエンジニアリング株式会社
    【受賞内容】

     大容量送水管整備事業は、平成7 年1月17 日に発生した阪神・淡路大震災の復興プロジェクトの一環である。震災直後の道路閉塞や交通渋滞により給水タンク車等による応急給水が十分にできなかった教訓を踏まえ、大容量送水管に高い耐震性能と大容量の貯留機能を送水機能に付加した市街地の地下深く通る大容量送水管の整備をした。これは前例のない画期的な技術で、現在では一般名称化され全国的に広がっている。
     奥平野工区では、全国で初めて「大深度地下使用法」を適用し、工事延長の短縮やコスト縮減を図るとともに、法適用区間のトンネル覆工構造体の中詰材に、曲げ引張強度不足を補うための「合成樹脂繊維補強コンクリート」を採用するなどし、大深度・高水圧下での厳しい施工条件を各種技術で克服した。また、断層横断部では「断層用鋼管」を全国で初めて採用し、断層変位が生じた場合でも通水機能の維持が可能となる。
     本業績は、最新の技術や法律を活用した全国初となる先駆的な取組み等により、効率的かつ効果的な整備を実施し、災害時の被害の軽減等に大きく貢献するものであり、大深度土木技術の進展に著しい貢献をしたこと、また、工事見学会等を通じて土木施設の意義や魅力を伝えていることを高く 評価された。


    【対象業績】
    都市部における超近接無導坑メガネトンネルの建設 -名塩道路八幡トンネル工事-
    名塩道路八幡トンネル工事 約1mの離隔である上下線を併進掘削している状況
    名塩道路八幡トンネル工事 約1mの離隔である上下線を併進掘削している状況
    【受賞者】
    国土交通省近畿地方整備局 兵庫国道事務所
    株式会社鴻池組
    【受賞内容】

     国道176号名塩道路八幡トンネルは、交通渋滞の解消、交通の安全確保及び異常気象時の通行規制区間の解消などを目的とした、上下線の離隔が約1mで近接する超近接無導坑メガネトンネルである。本トンネルは、都市部で高速道路やマンションなどの施設に近接するため、最新技術を駆使し、周辺環境の保全と安全管理を確実に実施し施工した。
     高速道路に近接した起点側坑口部の切土時には、斜面の変位を現地でリアルタイムに光の色で警告する「計測結果の見える化技術」を採用し、作業の安全性の向上を図った。また、トンネル施工では、有限要素法による影響予測解析を行うとともに、CIM(Construction Information Modeling)を導入したことにより、前方切羽を予測しながら必要な箇所に適切な補助工法を採用するがことでき、地表面の沈下や地中変位を基準値内に制御した。
     一方、マンションに近接する終点側坑口部の切土時においては、住環境への配慮として騒音低減効果を図る目的でエキセントリックリッパーを導入し、周辺環境の保全を図った。
     本業績は、都市部で保全対象となる施設に近接したトンネルの施工にあたり、最新技術である「CIM」や「計測結果の見える化技術」等を駆使することにより種々の課題を克服し、都市トンネル構築技術の進展に貢献した点を高く 評価された。


    【対象業績】
    寝屋川流域下水道 竜華水みらいセンター整備事業
    奥が竜華水みらいセンター管理棟、手前が誘致した民間の商業施設、左に見えるのが高度処理水を活用した"竜華せせらぎ緑道"、図は地上施設と地下施設を表した断面図
    奥が竜華水みらいセンター管理棟、手前が誘致した民間の商業施設、左に見えるのが高度処理水を活用した”竜華せせらぎ緑道”、図は地上施設と地下施設を表した断面図
    【受賞者】
    大阪府東部流域下水道事務所
    【受賞内容】

     竜華水みらいセンターは、寝屋川南部流域の下水処理能力を増強し、高度処理化を推進する第二の処理場として「大阪竜華都市拠点地区(八尾市)」に平成8年都市計画決定された。
     当地区は、JR大和路線久宝寺駅前に隣接する土地区画整理事業と一体的に整備が行われたが、公益文化地区に立地しているので、通常、地上に構築される水処理施設を完全地下式とし、上部にスポーツクラブや生活利便施設等の商業施設を誘致して、公益文化地区としての魅力を確保している。さらに商業施設に併設して下水高度処理水を活用したせせらぎ水路と緑道の整備を行い、駅前の賑わいと潤い空間の創出に貢献している。
     狭小な施工ヤードで長さ286m、幅84m、深さ22mもの水処理施設を完全地下化するにあたっては、剛性の高い地中連続壁工法と3,000本以上のアースアンカーを併用した。また、JRの軌道への影響を把握するため、連続自動計測システムによる地盤の変状監視を行い列車の運行に影響を与えることなく安全に施工を行った。
     本業績は公益文化地区で、駅前に建設された下水処理場であるため、水処理施設を完全地下式にし、上部にスポーツクラブ等を立地することで駅前地域の魅力アップに貢献した新しい処理場のあり方を提案したことを高く 評価された。


    【対象業績】
    見草トンネル工事におけるCIMシステムの開発と適用
    構築したCIMシステムの概要(見草トンネル)
    構築したCIMシステムの概要(見草トンネル)
    【受賞者】
    国土交通省近畿地方整備局 紀南河川国道事務所
    株式会社大林組 見草トンネル工事事務所
    【受賞内容】

     CIMシステムは「3次元モデルを利用して、情報を共有・活用することにより、建設生産システムの効率化・高度化を図るもの」と言われ、本工事は、着手時から当システムをトンネル施工に導入した全国初のプロジェクトである。
     トンネル工事では施工情報を再評価しながら最適な設計・施工法を選択するが、関係者の技術力の差等により合意形成に時間がかかり工程が遅延したり、施工データの維持管理の引継ぎに課題があった。
     このため、設計情報、施工情報、及び品質・出来形情報を統合した3次元モデルを構築して情報を可視化し、イメージを共有して施工の効率化を図った。また、3次元モデル作成に必要なデータは、既存のデータと紐付けすることで迅速化・省力化を図れ、遅滞なく3次元モデルに反映することが可能となった。
     本工事において開発したトンネル工事おけるCIM標準モデルシステムは、簡単で使いやすく分かりやすい3次元統合モデルで、施工に伴い情報が蓄積していく成長型CIMモデルとなった。
     本業績は、CIMを活用することで関係者の合意形成が迅速化し、施工速度が向上したこと、及び施工から維持管理への連携強化を図り、ストック型社会への転換に向けた社会資本整備に役立つ技術を開発したことを高く 評価された。

    技術賞部門賞

    【対象業績】
    大阪府営泉佐野丘陵緑地における地域、企業との連携による公園づくり
    公園内の様子:地域、企業、学識経験者、行政らが同じテーブルにつき、事業を進めた
    公園内の様子:地域、企業、学識経験者、行政らが同じテーブルにつき、事業を進めた
    【受賞者】
    大阪府岸和田土木事務所
    【受賞内容】

     泉佐野丘陵緑地は、関西国際空港対岸の山の辺に、大阪府では約20年ぶりに、21世紀になり初めてオープンした大阪府営公園である。本公園の整備にあたっては、計画の段階から、府民、企業、学識者、行政が同じテーブルにつき、協働で事業を進める「シナリオ型公園づくり」という新しい都市公園のつくり方、使いこなし方を実践した。
     平成19年に運営会議を立ち上げ、行政が行うインフラなどの基盤整備と企業グループが支援した大規模な資機材を活用し、府民ボランティア「パーククラブ」が手作で公園づくりを進め、平成26年8月に全体計画の面積約75haのうち約13haをオープンした。ボランティアや企業グループは現在も大阪府と共に、公園づくりやイベント運営などに関わり、継続した事業展開が行われている。
     この事業手法は、参画主体の満足度の向上にとどまらず、地域の活性化や企業の社会参画等を促す仕組みづくり、また、来園者に対するサービス向上にも寄与し、持続可能な「新たな公共事業モデル」として注目を浴びている。
     本業績は、地域、企業、行政との協働による公園づくりを通して、府民サービスの向上、地域の活性化、企業の社会参画等を促す仕組みづくりを構築したことを「喜ばれる技術」として評価された。


    【対象業績】
    紀勢線那智川橋りょう架替工事 ~急曲線桁(下路SRC連続桁)の架設~
    供用開始(H26.12.14)した那智川橋りょう
    供用開始(H26.12.14)した那智川橋りょう
    【受賞者】
    西日本旅客鉄道株式会社
    大鉄工業株式会社
    ジェイアール西日本コンサルタンツ株式会社
    【受賞内容】

     紀勢線那智川橋りょうの架替工事は、和歌山県が実施する「二級河川那智川災害復旧助成事業」の一環として那智川を渡河する橋りょうの架替えを行ったものである。
     本工事では、短期間(約2年半)で新橋新設、旧橋撤去、護岸工事を実施し、そのうち、河川内の工事は非出水期に施工するという非常に厳しい施工条件のため、工期短縮効果の高い工法が求められたことから、出水期に施工が可能な曲線送出し工法を採用した。
     桁構造は送出し架設を前提として、桁高を低く抑え、塩害環境にも配慮しSRC構造を選定した。急曲線桁(R=430)の曲線送出し架設は、鉄道橋として過去の事例が少なく技術的課題も多かったが、あらかじめ架設時の管理項目・管理体制を設定し施工したため、平成26年7月に無事に架設工事を完遂できた。
     また、SRC桁にはひびわれ抑制を図るため鋼繊維補強コンクリートを採用したが、主桁(I型)部の充填性確保が懸念されたため、実物大模型による施工実験を行い、その結果を反映した高品質なSRC構造物が構築できた。
     本業績は、厳しい施工条件のなか、急曲線桁(R=430)の曲線送出し架設を完遂し、鋼繊維補強コンクリートを用いた高品質なSRC桁を構築したことを「成し遂げた技術」として評価された。


  • 平成25年度 土木学会関西支部技術賞

    平成25年度 土木学会関西支部技術賞

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    技術賞

    【対象業績】
    阿倍野歩道橋架け替え事業
    『阿倍野abenoの「a」からまちがはじまる』
    『阿倍野abenoの「a」からまちがはじまる』
    【受賞者】
    大阪市建設局
    中央復建コンサルタンツ株式会社
    大日本土木株式会社
    片山ストラテック株式会社
    【受賞内容】

     大阪の天王寺・あべのターミナル駅周辺では、大規模な再開発事業に基づき新しい街づくりが進められている。
     その計画の一環として架け替える阿倍野歩道橋は、デザイン・設計コンペを実施し、地域住民・学識経験者によってアルファベットの「a」をデザインとした平面形状が採用された。阿倍野(abeno)の「a」からまちがはじまるをテーマに、街の発信的・発展的な「仕掛けづくり」となるデザインコンセプトに基づき計画・設計した。平面形状は鋼単純トラス橋、鋼2径間連続トラス橋、鋼3径間連続トラス橋で構成されている。
     鋼トラス桁は、厳しい桁高制限の中で鋼床版と下弦材を一体化することで支間40mを跨ぎ、剛性が高く揺れを感じにくい歩道橋を実現した。また、日差しが透過する膜屋根等の設置により利用者の快適性や利便性を向上させ、歩いて楽しい変化に富む立体空間を創出した。基礎構造は、地下鉄躯体を改築することにより基礎用の隔離した空間を設け、地下躯体との一体化を避けた形で大口径場所打ち杭や鋼管杭を打設し、安定した基礎を構築した。
     本業績は、歩道橋のランドマークとしてのデザインの工夫や地域住民意見の反映、耐震性や機能性にも優れた技術を用いた整備、さらには地域の活性化にも資する点などが高く評価された。


    【対象業績】
    北浜逢阪貯留管築造工事(平成の太閤下水)
    北浜逢阪貯留管の施工状況(直接切削セグメント部)
    北浜逢阪貯留管の施工状況(直接切削セグメント部)
    【受賞者】
    大阪市建設局
    【受賞内容】

     北浜逢阪貯留管(平成の太閤下水)は、大阪市の合流式下水道緊急対策の一環として、道頓堀川及び東横堀川の水質保全を図るため、概ね10年に1度の大雨を全量貯留する施設である。
     北浜逢阪貯留管は本線シールド(内径Φ6,000mm、延長約4.8km)、本町連絡渠(内径Φ4,000mm、延長約174m)、道頓堀連絡渠(内径Φ3,350mm、延長約125m)、3箇所の会所(内径Φ2,800~2,950mm、深さ約30~50m)の6つのシールド工法で構成される。
     本線シールドは、大阪市の主要幹線道路直下で最大土被りが約50mの大深度・高水圧下での長距離施工のため、カッタービットは掘進中の交換が不要となるよう耐摩耗性に優れたビットを採用した他、本町連絡渠はシールドの到達方法に全国初の直接切削セグメントによる側面接合を用い、会所部は全国で3例目の上向きシールド工法を用いた。
     本業績は、大阪市中心市街地での大深度・高水圧という厳しい条件下で、長距離掘進や側面接合、上向きシールド工法の採用など、極めて高いシールド技術を結集されている他、工期の短縮、幹線道路上作業の縮減を実現したこと等、今後活用できうる先駆的かつ独創的な技術が数多く示されていることが評価された。


    【対象業績】
    栗平地区河道閉塞に対する仮排水路及び暗渠排水管による越流防止策
    栗平地区天然ダム全景(越流時仮排水路)(H24.9.20)
    栗平地区天然ダム全景(越流時仮排水路)(H24.9.20)
    【受賞者】
    国土交通省近畿地方整備局紀伊山地砂防事務所
    大成建設株式会社関西支店
    大成建設株式会社本社・技術センター
    中電技術コンサルタント株式会社
    【受賞内容】

     平成23年9月に上陸した台風12号により栗平地区に発生した天然ダム(閉塞高約100m、縦断方向750m、下流面の勾配約50%の急斜面)の越流による決壊防止対策は現地までの陸路がなく、限られた機械で仮排水路の設計施工を翌年の出水期までに完了する必要があった。
     まず、セメント改良土による水路基盤を造成し、表面の洗掘防止対策としてモルタル吹付け構造の仮排水路を設計施工し、長大斜面(落差94m)には、お椀状の”イボ型粗度”による流速低減対策工法を開発し適用した。
     この仮排水路は3度の台風には耐えたが、平成24年9月の台風17号により半壊流失した。しかし、仮排水路が残存していたため、下流域への土砂流出を最小限に抑えることができ大規模な崩壊には至らなかった。
     その後、半壊状態にあった仮排水路に代わる排水路の構築が次の出水期までに必要となり、天然ダム内に国内で初めて推進工法による暗渠排水管を計画施工した。現在はこの暗渠排水管は確実に機能し、天然ダムの安定性を確保している。
     本業績では、土砂ダム崩壊を阻止した土木工学的意義の大きさや、その困難の克服と復興に寄与した点、また早期対応と工期短縮、さらに安全性の確保を着実に実施したこと等が、その技術全体として評価された。


    【対象業績】
    道頓堀川水辺整備事業(とんぼりリバーウォーク整備事業)
    道頓堀川における賑わい創出の取り組み(難波八阪神社船渡御)
    道頓堀川における賑わい創出の取り組み(難波八阪神社船渡御)
    【受賞者】
    大阪市建設局
    【受賞内容】

     大阪ミナミの中心を流れる道頓堀川をまちの重要な空間として川を身近に感じ、水の都大阪を象徴する名所に相応しい賑わいあふれる水辺空間の創造に向け、平成7年度より水辺整備事業を実施し、水位調整や高潮防御等の機能を持つ水門及び関係橋梁、川沿いに水面に近い高さの水辺遊歩道を平成24年度末までに整備した。
     本事業では、整備計画策定時から地域意見を取り入れ地域と連携・密着し、沿川開発と一体的整備を積極的に進め、さらに水辺の利活用の規制緩和を国へ働きかけ、社会実験として水辺空間のイベント等を実現し、地域貢献できるソフト的取り組みを実施した。
     加えて社会実験の課題を国等と共有し、その解決として民間事業者が占用主体となりうる規制緩和を受け、平成24年度から日本で初めて包括的に民間事業者がエリアを占用し、イベント誘致等に民間ノウハウが活用可能な仕組みを構築するなど、さらなる賑わいの創出に向けた積極的な取り組みが進められている。
     本業績では、事業目的を関係者で設定・共有し、その実現のための各種施設整備やソフト事業の実施に際し、関係法令など様々な制約条件をクリアし実現に導いた担当者のマネジメント力をはじめ、地域振興にも資する点等も含め総合的観点から評価された。


    【対象業績】
    阪神高速淀川左岸線(1期)の建設 -河川空間を再生する先進トンネル-
    正蓮寺川の陸地化が完了し開削トンネルを施工している状況
    正蓮寺川の陸地化が完了し開削トンネルを施工している状況
    【受賞者】
    阪神高速道路株式会社大阪建設部
    【受賞内容】

     大阪都市再生環状道路の一翼を担う、阪神高速2号淀川左岸線(1期)の島屋~海老江JCTまでの区間(約4.3km)が開通した。開通区間は開削トンネル構造が8割を占め、そのうち2.4kmは一級河川である正蓮寺川を陸地化した後にトンネルの構築が行われた。この陸地化工事では川底に厚く堆積していた底質(ヘドロ)の処理方法が課題となった。
     先行して行ったセメント系固化材を使用した原位置固化改良工法では、改良底質が強い臭気を放ったことから、工法の見直しを行い、底質を浚渫して現地プラントに圧送し超高圧フィルタープレスで脱水固化を行う方法(浚渫脱水固化工法)を採用して、悪臭拡散・水質汚濁の防止に努めた。また、底質の一部はPCB等で汚染されていたため、水質・大気などの環境監視を行いながら上下左右、上流・下流の六面で封じ込めを行う等、周辺の環境保全に最大限の配慮をして施工を進めた。
     本業績は、都市部の河川空間を活用して高速道路の地下トンネルを建設したものであり、臭気対策や底質汚染という困難な課題を克服して地元住民の長年の要望であった河川の陸地化を成し遂げ、地域の環境改善に大きく貢献したこと、また、トンネル区間に新構造・新技術を積極的に導入し安全・安心の向上などに努めたことが評価された。

    技術賞部門賞

    【対象業績】
    二次覆工を先行施工した超近接双設トンネルの施工
    無事に完成し、供用開始した双設トンネル(赤峰トンネル)
    無事に完成し、供用開始した双設トンネル(赤峰トンネル)
    【受賞者】
    大阪府富田林土木事務所
    株式会社熊谷組関西支店
    【受賞内容】

     本事業は、府道大野天野線改築事業として、既存道路の渋滞緩和や、消防新庁舎・救命救急機関へのアクセス等を目的として行われた。このうち丘陵部における双設トンネル区間は、各々の支保工外面の離隔が8cmしかなく、加えて、大阪層群の砂礫からなる未固結地山であったため、後行トンネルの掘削に伴う緩み荷重を、先行トンネルの二次覆工で担う設計とし、先に先行トンネルを二次覆工した後に後行トンネルを掘削するという極めて事例の少ない「無導坑式超近接双設トンネル」である。
     この工法は、設計方法や管理基準等が未確立であったため、当初設計の精査、課題抽出と対策立案・施工時の計測結果のフィードバックといった一連のプロセスを確立し施工した。
     その一例として、施工前の検討において、掘削による緩みを最小限に抑制するため、後行トンネルにおける吹付けインバートによる早期閉合の追加実施を決定し、先行トンネルへの影響を計測しながら、安全に工事を完成させた。
     本業績は、事例に乏しい超近接双設トンネルという工法を取らざるを得ない制約条件の下で、一連の施工プロセスを確立し困難な課題を克服したことが「成し遂げた技術」として評価された。


    【対象業績】
    複々線区間における弾力性ある輸送設備計画について
    線路競合の解消に向けた設備改良計画(新大阪駅)
    線路競合の解消に向けた設備改良計画(新大阪駅)
    【受賞者】
    西日本旅客鉄道株式会社建設工事部
    西日本旅客鉄道株式会社大阪工事事務所
    【受賞内容】

     JR西日本の西明石~草津間の複々線区間(4線区間)は、外側線を活用した「新快速」により利用者が着実に増加してきた。一方で近年、利用者から列車遅延に関する意見が多く寄せられている。その要因の一つに輸送障害発生後に列車遅延の早期収束を阻む「線路競合」や列車運行が継続出来なくなる「折り返し設備の不足」といった設備面での課題がある。
     まず、外側線と内側線の列車遅延が相互に干渉し合う事象である「線路競合」については、主要ターミナルである新大阪駅や高槻駅で設備改良計画を策定しその解消に向けた取組みを行い、つぎに輸送障害時の「新快速」の運行を妨げていた「折り返し設備の不足」ついては吹田駅や尼崎駅にて設備改良を行うことにより「新快速」の運行を可能としている。
     本業績は、鉄道固有技術である計画策定に必要な”停車場配線”技術や、施工場面での”線路切換”技術をトータルコーディネートし、確実に供用開始に繋げることにより輸送障害発生後における「列車遅延の早期収束」、「ダウンタイム短縮」を実現し、利用者への安全安定した輸送サービスの提供に大きく貢献したことなどが「喜ばれる技術」として評価された。


  • 平成24年度 土木学会関西支部技術賞

    平成24年度 土木学会関西支部技術賞

    掲載の記事・写真・図表などの無断転載・使用を禁止します。
    著作権は公益社団法人土木学会関西支部および作者に帰属します。

    技術賞

    【対象業績】
    紀勢線那智川橋りょう早期復旧工事
    那智川橋梁復旧工事の完成(運転再開時の様子)
    那智川橋梁復旧工事の完成(運転再開時の様子)
    【受賞者】
    西日本旅客鉄道株式会社
    大鉄工業株式会社
    ジェイアール西日本コンサルタンツ株式会社
    【受賞内容】

     平成23年の台風12号による河川増水で流出した紀勢線の那智川橋りょうの早期復旧を望む地域の人々の声に応えるため、種々の検討を行い、短期間で復旧工事が実施された。
     本工事は、流出した橋脚ならびに上部工を復旧するものであるが、橋脚の再構築工法と工事用桟橋の架設工法の選定が、工期短縮に際しての課題であった。
     そこで、まず橋脚については、洗掘への対策と支持力の確保が可能であり、建設時の仮締切を必要としない「パイルベント橋脚工法」を採用することで施工性の向上、工期短縮を図った。併せて、2本の柱の間に流木等が滞留し、流水に影響を与えることのないよう、乱流防止工の設置も行った。
     また、仮設桟橋には、斜張式設備を用いて片持ち式でパネルを前方へ設置し、そのパネルを導材として次の支持杭を施工することで、架設および撤去を短期間かつ安定的に行うことができる「鋼製パネル斜張式架設工法」を採用した。これにより、標準的な桟橋工法で問題となる施工条件や工期短縮の課題を克服した。
     さらに、上部工については、同種の桁を新たに製作すると工期が長期化するため、保有していた災害予備の桁を、設計耐力を確認したうえで本設桁に転用することで工期とコストの両方を縮減した。
     本業績は、早期復旧に適した工法や構造形式を採用し、流出した橋りょうを3ヶ月という短期間で復旧したこと、また本工事の早期完成により地域に貢献したことなどが評価された。


    【対象業績】
    JR京都線他6線直下における貨物道路新設工事
    工事完了後の地下道路ボックス(舗装施工前)
    工事完了後の地下道路ボックス(舗装施工前)
    【受賞者】
    西日本旅客鉄道株式会社
    大鉄工業株式会社
    ジェイアール西日本コンサルタンツ株式会社
    【受賞内容】

     独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が推進する梅田・吹田基盤整備事業に伴い、吹田貨物ターミナル駅へのアクセス道路(吹田貨物専用道路)が新設された。
     本業績の対象は、吹田貨物専用道路のうち、JR京都線他6線の鉄道線路直下を横断するURT(Under Railway Road Tunnelling Method)工法による地下道路ボックスの構築工事である。
     線路下でのURT工法の実績は数多くあるものの、本工事は、1)URTボックス延長が過去最大級、2)高速・高密度の6線の線路直下での施工、3)URTボックスが地下水位以深、4)軟弱地盤中での施工、5)4%下り勾配でのエレメント推進という厳しい施工条件下において行われた。
     これらの課題に対して、地盤改良(止水、地盤強化)やエレメント刃口の改良、軌道や地盤、エレメントの計測管理を確実に行うことで、鉄道の安全・安定輸送を確保しながら、高い施工精度でURTボックスを構築している。また、ボックス全体が地下水位より低い位置にあるため、エレメント継手部の止水性を高め、その結果天井工の省略も可能にしている。
     本業績は、6つの鉄道線直下での施工という厳しい条件下において、推進工法により安全に地下貨物道路を新設したこと、また施工精度を確保するための刃口の改良や継手部の止水対策なども評価された。


    【対象業績】
    集中工事での既設鋼I桁の連続化による総合的な改良工事
    わが国初となる1支承線化による連続化工の作業状況
    わが国初となる1支承線化による連続化工の作業状況
    【受賞者】
    阪神高速道路株式会社大阪管理部
    阪神高速技術株式会社
    阪神高速技研株式会社
    三菱重工鉄構エンジニアリング株式会社
    【受賞内容】

     阪神高速13号東大阪線の法円坂区間は、難波宮史跡の保護を目的として、短径間鋼床版で多くの単純桁からなる特殊な構造形式が採用されているが、この構造形式は疲労に対し脆弱であるため、鋼桁に繰り返しき裂損傷が発生していた。また、同区間では走行性・周辺環境においても問題を抱えていた。
     そこで、ライフサイクルコストを考慮のうえ、損傷リスクを大幅に低減させることを目的として、わが国初となる「1支承線化による連続化」による大規模構造改良工事を実施した。この連続化工事により48車線分の伸縮装置が撤去され、走行性や周辺環境も大幅に改善したことから、法円坂区間の構造上の問題は解消された。
     また、法円坂区間は大規模医療機関や主要官庁施設が集積する地域を通過することから、工事に伴う交通流の影響が広域に発生することが予測されていた。そこで、併走する一般街路の固定規制を不要とするために鋼製高欄を連続化の対象から外すことや、大規模フレッシュアップ工事(東大阪線の8昼夜連続通行止め)として行う他の規制を伴う補修工事に合わせて、集中的に連続化工事を実施することなどにより、周辺道路の交通流への影響が最小限となるように努めた。
     本業績は、車両の走行性や周辺環境にも配慮しながら、疲労による損傷リスクを低減させるような連続化工事を行ったこと、またこのような連続化工法は応用性が高く、今後の発展性が期待できること、さらには他の補修工事に合わせて集中的に実施することにより、周辺交通への影響を最小限に留めたことなどが評価された。


    【対象業績】
    西名阪道御幸大橋の床版急速取替
    高速道路で初めてとなる夜間施工・昼間開放による施工条件下での床版取替状況
    高速道路で初めてとなる夜間施工・昼間開放による施工条件下での床版取替状況
    【受賞者】
    西日本高速道路株式会社関西支社南大阪高速道路事務所
    横河工事株式会社大阪支店
    川田工業株式会社大阪支社
    【受賞内容】

     御幸大橋は西名阪道の法隆寺IC近くにあり、昭和44年に供用を開始している。昭和54年頃から騒音・振動問題が発生し、近年では床版劣化が進行したため環境面も考慮して床版取替えを行った。これまで高速道路での同種工事は、連続通行止めや反対車線へのシフトが可能な路線で実施されてきた。しかし西名阪道は重交通で代替路線がないことから、長期間の通行止めが不可能であった。そこで夜間施工・昼間1車線開放という高速道路では初めてとなる施工条件下において工事を行った。
     まず、Ⅰ期工事では、仮設鋼床版を使用した昼間交通開放の技術を確立した。また、Ⅱ期工事では、仮設鋼床版のコンパクト化とともにプレキャスト床版の継手の改良を行い、1枚当たりの施工時間をⅠ期工事に対し6割に短縮した。さらに、Ⅲ期工事では、1時間で30N/mm²以上の圧縮強度が出現するコンクリートを用いた新たなプレキャスト床版の継手を開発し、Ⅰ期工事における施工時間の約4.5割に短縮するなど、さらなる急速施工を実現した。
     一方、工事前後の環境測定結果を比較すると、騒音レベルについては2~6dB、振動レベルでは5dB以上の低減が図れた。
     本業績は、仮設鋼床版の導入ならびにプレキャスト床版継手の改良など、先駆的な工法を用いて施工したこと、また夜間施工・昼間1車線開放という厳しい条件下において、大幅な施工時間短縮を達成したことなどが評価された。

    技術賞部門賞

    【対象業績】
    河川氾濫予測システムの整備
    河川氾濫予測システムの表示画面(千種川水系)
    河川氾濫予測システムの表示画面(千種川水系)
    【受賞者】
    兵庫県県土整備部
    三井共同建設コンサルタント株式会社
    【受賞内容】

     平成21年台風第9号の豪雨では、兵庫県西播磨地域を南北に流れる千種川水系の上流部の至る所で溢水し、佐用町で20名が亡くなるなど、水位上昇が速く、避難時間に余裕の少ない河川の上流域で被害が多く発生した。このため兵庫県では、市町が避難勧告等をより的確に発令するための情報提供が必要であると考え、県下全684河川において河川氾濫予測システムを整備することとし、まず千種川水系をモデルケースとして整備に取り組んだ。
     本システムは、河川を数キロの区間ごとに分割し、気象庁の降雨予測データと流出解析モデルを使って各区間の代表地点における3時間先までの水位を予測するもので、氾濫の恐れがある場合にはそれを地図に表示して県独自のシステム(フェニックス防災システム)により市町に配信するものである。
     整備にあたっては、学識経験者や県・市町の関係者で構成する「氾濫予測システム検討会」を設置し、予測精度の確認やシステムの操作性の向上など、本システムを活用するための課題を解決した。
     本業績では、このシステムの活用によって、出水時における危険地域の事前察知や地域を限定した市町の避難勧告等の発令が可能になり、人的被害の最小化に繋がること、また使命感を持って短期にシステムを構築し実用に供せしめたことなどが、地域に「喜ばれる技術」として評価された。


    【対象業績】
    国際コンテナ戦略港湾における次世代高規格コンテナターミナル整備事業
    完成した神戸港ポートアイランド(第2期)地区 次世代高規格コンテナターミナル
    完成した神戸港ポートアイランド(第2期)地区 次世代高規格コンテナターミナル
    【受賞者】
    国土交通省近畿地方整備局港湾空港部港湾物流企画室
    国土交通省近畿地方整備局神戸港湾事務所
    【受賞内容】

     国土交通省港湾局は、国際基幹航路の我が国への寄港を維持・拡大することを政策目的として、阪神港(神戸港・大阪港)を国際コンテナ戦略港湾として選定し、その目的を実現するため、ハード・ソフト一体となった施策を集中して実施してきた。その施策の一つとして、神戸港ポートアイランド第2期地区において、供用中の岸壁を次世代高規格コンテナターミナル※1として整備するプロジェクトを進めてきた。
     本プロジェクトを実施した神戸港ポートアイランド第2期地区は、関西地区の経済を支える物流拠点であり、プロジェクトの実施にあたっては、神戸港における物流機能を可能な限り阻害しないことが課題とされた。
     これらの課題に対し、1)港湾物流への影響を小さくするため供用施工とする、2)岸壁を占有せざるを得ない場合もそのエリアを必要最小限とする、3)採用される工法は既設構造物に影響を与えないものとする、といった点において適切に技術を活用しながら対応し、事業を実施した。
     本業績では、神戸港における物流機能を供用しながら阻害することなく工事を行い、総延長1,150m、水深16mの次世代高規格ターミナルを短期間で整備したこと、また長尺アンカー工法等の高度な技術を用いた耐震性能の向上を果たしたなどが、「成し遂げた技術」として評価された。
     ∗1次世代高規格コンテナターミナル:官民一体でハード・ソフトが連携した施策を展開するターミナルのことであり、民間事業者による一体的な運営がなされ、ターミナルの規模として最大水深15m以上、延長1,000m以上、奥行き500m程度を有するターミナルを指す。


    【対象業績】
    氾濫原における水害危険度分布に基づく洪水対策の評価法とその適用
    地先の安全度マップ(浸水深図、長浜市南部、200年確率)
    地先の安全度マップ(浸水深図、長浜市南部、200年確率)
    【受賞者】
    中西宣敬、辻光浩、西嶌照毅、瀧健太郎
    景山健彦、尾上貴洋、鵜飼絵美、江頭進治
    松田哲裕、間野耕司
    【受賞内容】

     本業績は、氾濫原管理の重要性に鑑み、滋賀県全域を対象として、氾濫原の任意の地点における水害危険度分布や各種洪水対策を評価し、水害に強いまちづくりを目指すため、超過洪水時の潜在的な水害リスクを広く共有できる地先の安全度マップを作成し公表を行ったものである。
     まず、様々な洪水規模を対象とした水害危険度分布を評価するため、降雨流出、洪水流および氾濫流を評価できる水文・水理統合モデルを構築している。これを用いて、洪水の規模別に、堤防の破堤の影響および各種洪水対策の効果も考慮して、氾濫原の任意の地点における浸水深および流体力を算定した。さらに、これらの結果、および被害曲線や避難曲線を用いて、任意の地点の被害の程度と発生確率の関係を表現するリスクマトリックスを考案し、水害危険度を可視化した「地先の安全度マップ」として公表している。
     本業績では、各種の洪水対策の効果を含む洪水リスク情報が整備されることにより、今後、河道に対して実施されてきた治水対策に加え、水害防備林、霞堤、二線堤、堤防強化、土地利用や建築規制、避難システムといった総合的な対策の進展が期待される。また、スムージング処理を行い、判り易い公表を行う等、住民の防災意識の向上をも促すことのできる可能性も持ち合わせる「新しい技術」として評価された。


  • 平成23年度 土木学会関西支部技術賞

    平成23年度 土木学会関西支部技術賞

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    技術賞

    【対象業績】
    大阪駅改良工事~軟弱地盤上の既設構造物に近接した大規模掘削工事~
    工事が完了し、グランドオープンを迎えたOSAKA STATION CITY
    工事が完了し、グランドオープンを迎えたOSAKA STATION CITY
    【受賞者】
    西日本旅客鉄道株式会社
    ジェイアール西日本コンサルタンツ株式会社
    株式会社大林組
    【受賞内容】

     大阪駅周辺地域では新しいまちづくりが進められており、大阪駅を将来にわたって大阪の玄関口にふさわしい、快適で利便性が高く、賑わいに満ちたターミナルとすることが求められた。このコンセプトに基づき、大阪駅の改良工事ならびに大阪駅新北ビル(現在の「ノースゲートビル」)新築工事が実施された。
     中でも、大阪駅新北ビル建設に伴う地下工事は、既設の鉄道高架橋に近接した深さ20m、横断幅約30~60m、延長280mの大規模掘削工事であり、その上、掘削範囲は地盤が軟弱なため、高架橋に変状が生じないよう細心の注意を払って施工を進める必要があった。
     そこで、本工事では、近接した既設高架橋への影響を極力抑制するため、補助工法としてソイルバットレス工法を採用し、既設高架橋の変位計測や沈下量予測を活用した情報化施工も行なった。その結果、既設高架橋の安全性を確保しながら、かつ列車運行にも支障なく無事に工事を完遂した。
     本業績は、大ターミナル駅の直近で、高架橋構造物及び列車の運行に支障を来すことなく、大規模掘削工事を成し遂げたことは高く評価できる。また、本工事を無事完了したことでOSAKA STATION CITYとして予定通りグランドオープンし、大阪の玄関口にふさわしいターミナルとして誕生しただけでなく、駅周辺地域のまちづくりに寄与するという大きな役割を果たしたことなどが評価された。


    【対象業績】
    大阪の都心部に砂浜出現 水辺でくつろぎ遊べる都会のオアシス空間の創出
    大阪ふれあいの水辺で遊ぶ子供
    大阪ふれあいの水辺で遊ぶ子供
    【受賞者】
    大阪府西大阪治水事務所
    【受賞内容】

     大阪の都心部の河川は、ほとんどが垂直式のコンクリート護岸であることから、水辺に近づき、憩い、やすらぎを感じる空間を十分に提供できていないのが現状である。そこで、本事業は”「人と水辺の絆の復活」~心に響く都心のオアシス~”を基本コンセプトとして、これまで大阪の都心部にはなかった、川に直接触れることができ、水辺でくつろぎ、水遊びができる場として砂浜を整備し、水都大阪の新たな魅力創出を図ることを目的として実施したものである。
     設計に際しては、地元活動団体とのワークショップや近隣小学校へのヒアリングを行い、利用面、安全面、生物環境の保全面等について意見交換を行った。その結果、砂浜については、遠足や課外学習の場として利用できる程度の広さを確保し、また傾斜部は水辺でのカヌーなどの利用や水遊び等を想定し、緩勾配に設定した。さらに、子供の目線でも園内の通路から水面を見通せるように工夫するなど、子供の安全面にもきめ細かな配慮がなされている。
     本工事の完成後、小さな子供連れの親子が砂浜で遊ぶ姿や、地域の小学校や幼稚園の児童園児が水辺の魚、カニ等を見つけ学習している光景をたびたび目にすることができる。
     本業績は、都心部において砂浜を創出するというユニークな取組みであること、利用者目線からさまざまな工夫を凝らし地域等と一体となって成し遂げたこと、地域住民に喜ばれる憩いの親水空間を提供したことなどが評価された。


    【対象業績】
    北近畿タンゴ鉄道円山川橋りょう架替工事の完成
    円山橋りょう架替工事の完成(アプローチ部から橋りょう部を望む)
    円山橋りょう架替工事の完成(アプローチ部から橋りょう部を望む)
    【受賞者】
    北近畿タンゴ鉄道株式会社
    ジェイアール西日本コンサルタンツ株式会社
    大鉄工業株式会社
    株式会社横河ブリッジ
    株式会社奥村組
    株式会社淺沼組大阪本店
    【受賞内容】

     平成16年の台風23号の豪雨により、円山川の一部の堤防が破堤し、その流域では甚大な被害が発生した。災害リスクを軽減するため「円山川河川激甚災害対策特別緊急事業」において、緊急的かつ集中的な河川整備が行われ、この事業の一環として、北近畿タンゴ鉄道宮津線円山川橋りょう架替工事が実施された。
     本工事は兵庫県北部の豊岡盆地に位置し、厚さ約40mの軟弱な沖積粘性土層を主体とした地盤上で施工されるため、新規盛土による圧密沈下が懸念された。また、用地買収に要する補償費・協議時間等も考慮し工法を検討した結果、「活線直上工法」を採用した。この工法は、現在線と同じ位置に列車の運転間合いを利用して橋りょうの架替を行うもので、本工事では、活線直上での横取り工法により全長310mの橋りょうの嵩上げおよび架替を行った。
     本工事では活線での施工が可能となるように、パイルベント橋脚工法や部分フローティング式鋼矢板工法(PFS工法)等の新しい技術を採用し、工期短縮・コスト縮減を実現した。また、アプローチ部盛土に軽量盛土(気泡モルタル盛土)を採用し、圧密沈下を抑制した。
     本業績は、厳しい工程制約の中、大規模で難易度の高い既設橋りょう架替工事を無事完成させたこと、また、本工事の完成により、地域の安全性向上に多大に貢献したことなどが評価された。

    技術賞特別賞

    【対象業績】
    独自の認定制度等によるLED道路照明灯の先導的な普及促進
    LED道路照明の設置事例(府道大阪中央環状線・鳥飼大橋)
    LED道路照明の設置事例(府道大阪中央環状線・鳥飼大橋)
    【受賞者】
    大阪府都市整備部交通道路室道路環境課
    大阪府都市整備部事業管理室
    【受賞内容】

     LED道路照明灯は、省エネ性、長寿命の利点を備えた次世代の照明として、また東日本大震災以降の節電の取組みとして、その導入が期待されているが、家庭・オフィス等の用途に比べると、未だ普及が進んでいない。その理由としては、初期コストの高さに加え、JIS等の規格が未整備で、導入に不安があることが挙げられる。
     そこで、本事業では照明性能等を客観的に評価する独自の製品認定制度を平成21年度から実施し、併せてLED道路照明灯の導入により期待できる削減コスト(電気代、保守費用)を原資に「リース方式」と組み合わせて道路照明灯の早期LED化に取り組めば、既存予算の枠内で大幅な消費電力削減を実現できることを示し、認定製品の積極的な導入を進めている。
     なお、当該制度で認定された製品は、「道路照明施設設置基準・同解説」に規定する照明性能を満足するものであり、全国の自治体においても使用が可能である。
     また、平成23年度には、平成21年度認定製品の半分以下の電力使用量で同等の明るさを確保できる製品が開発、認定されるなど、当該認定制度の実施が企業に対する技術開発のインセンティブとなり、次第に製品の性能は向上している。
     本業績は、全国に先駆けてLED道路照明灯に関する独自の製品認定制度を構築し、「地方から国を変える」ことを実践するとともに、企業の技術開発の促進に寄与したことなどが評価でき、特に製品に対して正当な評価を与えることにより、LED道路照明灯の全国的な普及、促進が期待できるところに汎用性や発展性が認められることなどが評価された。


    【対象業績】
    「みどりの風を感じる大都市・大阪」の実現に向けて~みどりの風促進区域~
    みどりの風促進区域の一つである「大阪港八尾線」
    みどりの風促進区域の一つである「大阪港八尾線」
    【受賞者】
    大阪府環境農林水産部
    大阪府都市整備部
    【受賞内容】

     本事業は、大阪府が平成20年に策定した「将来ビジョン・大阪」のもと、「みどりの風を感じる大都市・大阪」の実現、とりわけ「海と山をつなぐみどりの太い軸線」づくりに取り組むものである。
     平成23年5月に新たに制度化された「みどりの風促進区域」は、道路や河川を中心に民有地を含めた両側概ね100mの緑化を促進するもので、本区域内では、「街路樹の充実など公共事業の重点化」、「都市計画の規制緩和による緑化誘導」、「民間企業の協力による民有地緑化」の3つの施策により緑化の取組みを進めている。
     「都市計画の規制緩和による緑化誘導」では、沿線民有地において従来型の規制により緑化を進めるのではなく、建蔽率や容積率等の規制緩和などのインセンティブの付与による緑化誘導に主眼を置くとともに、緩和の基準には全国で初めて「緑視率(建築物を道路側から見たときのみどりの割合)」を採用し、住民や来訪者が実感する緑化の度合いに即した評価を具現化することに成功している。
     また、「民間企業の協力による民有地緑化」では、地域ぐるみの緑化を支援するため、地域で作成した緑化プランに基づく経費は、大阪府が全額負担し、また、樹木は企業等から提供されたものを活用している。併せて、緑化した住宅のローンの金利優遇や外構・植栽工事の割引など、企業独自の支援・協力が得られるような仕組みづくりも行っている。
     本業績は、「緑視率」という、いわば利用者の視点に立った新たな評価指標を導入したことなど評価すべき工夫が多数あり、特に従来の”規制型”ではなく、緑化したい住民等が”選べる”制度とした高度な制度設計技術に独創性や先駆性が認められることなどが評価された。