関西支部技術賞

2019年度 土木学会関西支部技術賞・技術賞部門賞を決定しました

 土木学会関西支部技術賞は、土木技術の発展に貢献する優れた業績を表彰することにより、その成果をたたえるとともに支部会員の意識の高揚を図ることを目的として1982年に設けられた表彰制度です。

 2019年度は8件のご応募をいただき、選考の結果、技術賞4件と技術賞部門賞2件を決定しました。
 技術賞の表彰は、2020年5月15日に建設交流館で開催される「土木学会関西支部第93回支部総会」で執り行われ、受賞者には賞状および楯を授与いたします。

 なお、掲載の記事・写真・図表の著作権は、受賞団体および公益社団法人土木学会関西支部に帰属します。

技術賞

【対象業績】
「開かずの踏切」が開く40年の取組み ~駅・道路の面的整備による踏切除却
立体横断施設整備・東淀川駅橋上化と北宮原・南宮原踏切除却

立体横断施設整備・東淀川駅橋上化と北宮原・南宮原踏切除却

【受賞者】
西日本旅客鉄道株式会社
大阪市建設局
大鉄工業株式会社
ジェイアール西日本コンサルタンツ株式会社
【業績説明】
【授賞理由】
 本業績は、JR西日本管内でワースト1・2の「開かずの踏切」であり、40年以上前からの懸案であったJR東淀川駅近傍の北宮原踏切・南宮原踏切について、駅の橋上化・立体横断施設整備と組み合わせて、踏切除却を図った。また、東淀川駅のバリアフリー化も合わせて実施し、安全性・利便性の向上や、地域分断を解消したことを評価し、技術賞とした。

技術賞

【対象業績】
官民一体による奈良県天川村における長期的なダム堆砂処分地確保の取組み
土捨場整備の概要 (土捨場と進入道路について)

土捨場整備の概要 (土捨場と進入道路について)

【受賞者】
関西電力株式会社
株式会社大林組
【業績説明】
【授賞理由】
 本業績は、全国のダムの共通問題である堆砂処分方法について、流域の崩壊土砂対策も視野に入れて、奈良県天川村と関西電力との官民一体の協力関係により相互の強みを最大限活かすことで、短期間の整備計画を策定したことに加え、急傾斜地における進入道路の施工などの施工技術も優れていたことを評価し、技術賞とした。

技術賞

【対象業績】
三大水門の津波対策補強 (安治川水門、木津川水門、尻無川水門)
400t起重機船による仮締切鋼材据付・撤去状況

400t起重機船による仮締切鋼材据付・撤去状況

【受賞者】
大阪府西大阪治水事務所
【業績説明】
【授賞理由】
 本事業は、三大水門の津波対策として補強を施したもので、南海トラフ大地震からの被害を軽減する重要な対策であり、工事中の仮締切りをL2津波や計画高潮を考慮した強固で転用も可能とした構造を採用したことや狭小部での起重機船作業を工夫したことなどを評価し、技術賞とした。

技術賞

【対象業績】
台風で損傷した鳴尾橋の復旧 大型ジャッキ搭載の台船による一括撤去・架設
大型ジャッキを搭載した台船による新橋の一括架設状況

大型ジャッキを搭載した台船による新橋の一括架設状況

【受賞者】
兵庫県阪神南県民センター西宮土木事務所
株式会社三井E&S鉄構エンジニアリング
【業績説明】
【授賞理由】
 本業績は、2018年9月の台風第21号の際、船舶の衝突により損傷した県道芦屋鳴尾浜線鳴尾橋の橋桁を早急に復旧する工事である。並走する阪神高速湾岸線との離隔が50㎝と近接していること、潮位や波浪の影響を受ける海上工事である等、困難な条件の中、台船に大型ジャッキを搭載するなどの創意工夫により、安全かつ確実に橋桁を撤去架設したことを評価し、技術賞とした。

技術賞部門賞 (新しい技術)

【対象業績】
安威川ダムにおける基礎岩盤の確認手法について
安威川ダム監査廊敷きの基礎岩盤の状況

安威川ダム監査廊敷きの基礎岩盤の状況

【受賞者】
大阪府安威川ダム建設事務所
【業績説明】
【授賞理由】
 本業績は、ダム基礎岩盤のグラウチングによる透水性の改良にあたり、安威川ダムの岩盤において「割れ目の風化」と「狭在物の有無」が透水性に関係することを確認し、改良の効率化を図ったこと、また、岩級判定にもこれらを考慮し、基準を細分化、透水性の観点を含めた基準を確立したことから、「新しい技術」として評価し、技術賞部門賞とした。

技術賞部門賞 (使える技術)

【対象業績】
京阪本線宇治川橋梁における最適洗掘対策工の設計と施工
営業線近接での施工状況 (仮設桟橋設置)

営業線近接での施工状況 (仮設桟橋設置)

【受賞者】
京阪電気鉄道株式会社
【業績説明】
【授賞理由】
 本業績は、周辺環境への影響、鉄道運行への影響など様々な制約条件のもと、万全な設計と施工により困難な工事を安全に完了していること、また経年が長期である鉄道・河川構造物の防災強度および耐久性を高めていくことは多くの関係者にメリットがあり、先行事例として今後の他の事業への参考となることから、「使える技術」として評価し、技術賞部門賞とした。

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